Medical Scope
現代の子宮破裂
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.529
発行日 1986年6月25日
Published Date 1986/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206905
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子宮破裂ということばは,私達が産科学の講義をうけたときから,いつも頭を離れることがなく,その強烈な印象が残っています。あんな大きい妊娠末期の子宮がパチンと真ん中で割れる……と考えたら,誰だって寒気がしてくることでしょう。昔いわれたように,古典的帝王切開術といわれた子宮体部縦切開法が広く行なわれていた時代には,次回の妊娠の分娩時に子宮収縮がくると,その切開創が割れて起こるとされていましたが,今では,子宮体部をタテに切開する古典的帝切ではなくなりましたので,この形の子宮破裂はまったく姿を消したといっていいでしょう。そこで,今日行なわれている子宮下部横切開術による帝切では,次回の妊娠時にそのヨコの切開創が切れて破裂することがあるのだろうかという疑問が起こります。これはないといったら間違いになりますが,子宮をタテに切った昔の時代から考えたら,ウソみたいに低い発生率になりました。ことに,今日では前回に帝切をした妊婦は次回も帝切にするケースが多くなってくると,この切開創の破裂による子宮破裂は,いっそう少なくなってくるという結論になります。
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