連載 教育評価のはなし
評価と測定との違い
岸 学
1
1東京学芸大学
pp.648
発行日 1985年7月25日
Published Date 1985/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206692
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私の所属する大学は,ほとんどの学生が教職に就きます。大学卒業後の新米の先生に会うと,一様に日にするのは,評価の難しさ,大変さです。そのなかで「テストの結果だけで評価できれば楽だけどそれはできないし……」という声を聞くと,「評価.「の意味を正しく理解していることがわかり,教える側として,一安心です。
「評価=テスト」というとらえかたは,近年の学校教育のなかに浸透してしまっており,いろいろな弊害のもととなっています。テストとは,単に評価方法のなかの1つにすぎません。ところが,評価の方式をなるべくわかりやすく,客観的なものにしようとする傾向が強まると,次第にテスト法が重視され,盛んに使われはじめました。そして,いつのまにか評価とテストとがほぼ同じ意味で用いられてしまうようになりました。それとともに,教育評価を理解する上で重要な概念である評価と測定とがテスト=測定=評価という形で理解されてしまい,両者の区別がはっきりしないで使われている場合が数多く見られます。では,評価と測定とはどのように違うのでしょうか。わかりやすい例で説明しましょう。
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