連載 新生児理解のための基礎講座・1【新連載】
新生児医療に関する用語解説
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター新生児部門
pp.323-327
発行日 1985年4月25日
Published Date 1985/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206627
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講座開設に当って
(日本の新生児医療) 日本の新生児死亡率は,昭和58年度には出生1,000に対して3.9と,昭和15年の38.7に比べるとちょうど10分の1となり,今や世界一のレベルを誇っています.この目覚しい進歩は,日本全体の衛生環境の向上もさることながら,身を粉にして日夜の別なく働く若い医師と看護婦・助産婦の努力に負うところが大きいといえましょう。
図1(次ページ)に日本における新生児医療の進歩の概要を示しましたが,本当の意味の近代新生児学がスタートしたのは1970年前後のほんの10年前に過ぎません。その頃を境に,従来の,いわゆる出来るだけそっとしておくという未熟児室の言葉がまさにピッタリの養育を中心とした医療から,積極的に起こりうる問題,病気に立ち向かい治療しようとするNICUを中心とする新生児医療に変わってきました。それに伴う最近の,この分野の進歩は目をみはらんばかりで,著者が新生児学を始めた1972年には,いわゆる新生児の教科書は有名なシェーファーの本以外はほとんどなかったのが,今は,毎月1冊ぐらいは新生児関係の本が出ています。
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