Medical Scope
骨盤位と帝王切開術
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.354
発行日 1984年4月25日
Published Date 1984/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206441
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骨盤位分娩と帝王切開術という表題は皆さんも雑誌の特集号的な話題として,あるいは,学会や講演会での講演の主題として,眼にし耳にしているものと思います。ここでひとつ,アメリカの大変有名な病院での歴史的な報告が発表されましたので,その話題を中心に,この問題に関して,アメリカではこんな風に臨床の実際が行なわれているのだ……ということを学んでみてください。
アメリカ西海岸の大都市ロスアンゼルスのウィメンズ・ホスピタルというメディカルセンターでは,1970年には全分娩の9.3%が帝切例であったのが,1975年には10%になってきたというのです。この傾向はどこの病院でも同じで,日本の大きな産科施設での帝切率も,今日では10%前後から15%ぐらいまでの間になっているのがほとんどだと思います。これは全分娩例に対する帝切率で,この帝切率の増加とともに,母体死亡率や周産期死亡率も下降してきたことはいうまでもありません。このうち,骨盤位の症例に対する帝切率は一体どのくらいになっているのでしょうか。アメリカのことですから,非常に高いとは思いますが,年代別にみてみますと,
1970年 31.7%
1974年 63.3%
1975年 72.5%
1980年 74.5%
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