Medical scope
骨盤位分娩の診療方針
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.774
発行日 1980年11月25日
Published Date 1980/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205786
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骨盤位の胎児をいかに分娩させるか? つまり,経腟骨盤位分娩にするか,帝王切開にするか,これをいつ,どんなときに,どのような基準をもって決定するかという問題には,古くて新しい産科診療のポイントのひとつとして,大変多くの論議がおこなわれてきました。しかし,最近になって,その根本的問題に関して,ひとつの新しい考え方が芽生えてきました。今月はその考え方を紹介することにしました。
諸君もこんな話を先輩からきいたことがあるでしょう。「骨盤位の胎児は大きすぎると頭がつかえて難産となる。胎児が小さければうまく経腟分娩でも生まれる」……と,こんなことです。巨大児のような大変に大きい胎児では,なるほど骨盤位分娩に困難を感じるという意見は正しいと思います。後続児頭の娩出に困難を感じ,新生児仮死におちいってしまったり,ときには分娩中に胎児が死亡することもあります。また,たとえ,うまく生まれても分娩麻痺や骨折という分娩外傷の発生率も高くなるのは当然のことです。したがって,巨大児のような胎児であると最初からわかっていて,経腟分娩が無理だというのなら,これは帝切にするのが正しい考え方となります。この方針には諸君も全員が賛成するでしょう。
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