特集 母子保健,最近の話題から
母性看護における更年期婦人への援助を考える
前原 澄子
1
1千葉大学看護学部母性看護教室
pp.1013-1016
発行日 1983年12月25日
Published Date 1983/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206354
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はじめに
最近,女性の中年期の生き方を考えるもの思秋期と称し更年期における女性のさまざまな心の葛藤を描いたもの,中年期の女性の性を扱ったもの等,更年期婦人をテーマにした図書がいくつか出版されている。思春期や老人問題に比して,やや出足の遅い感があるが,今日的課題として,放っておけないことである。関係のある学問,実践分野で今後より深く掘り込んでゆかねばならない問題であろう。
母性看護の分野においては,更年期婦人はその対象としては認められているものの,どのような実践がなされ,学問的にはどのように位置づけられるか,もう一歩明確になされていないように感ずる。そのために生殖器疾患をもった婦人の看護は,成人看護学だ,いや母性看護学の範疇だと,いまだに論議されているところである。新生児が長い間,産科と小児科の間にあって不幸なめにあってきた間違いを二度とくり返さないように,更年期婦人看護がどのような位置づけで母性看護に存在し得るかを考えることは,更年期婦人の幸せのためにも,母性看護学の構築の上にも重要なことであると考える。
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