連載小説 田中志ん物語・終りなき旅・4
第1章 産婆志願
島 一春
pp.864-871
発行日 1982年10月25日
Published Date 1982/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206107
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秋の虹
志んの胸のなかには,小鳥が棲みついた。
翼は淡い水色,嘴は銀,そして細い足は紅色の小鳥であった。朝,目醒めると,小鳥はさわやかな声で囀(さえず)りはじめる。囀声は胸の襞に快くひびいて,志んは全身が弾んでくるのをおぼえた。
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