産育習俗今昔
1.生命渇仰
鎌田 久子
1
1成城大学
pp.51-55
発行日 1982年1月25日
Published Date 1982/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205957
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はじめに
いつの時代にも,生命の誕生は神秘なものとされていたが,現在の医学の進歩は,この神秘のべールを次々と剥ぎ,ついには試験管ベビーを誕生させるまでに到達してしまった。男女の産み分けも可能とか。しかし他方なお,予測できない事態(あるいはこれは人間の一瞬のスキであるかもしれないが)も出産時にはあって,新しい生命を失うこともある。医学の進歩に感謝しつつ,なお未知なものに対する不安感を抱いているというのが生命誕生の場面での人間の姿であろう。
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