特集 妊産婦と食生活
妊産婦のための食事指導の実際
二見 優子
1
1東京都立築地産院
pp.233-243
発行日 1980年4月25日
Published Date 1980/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205692
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はじめに
妊婦に「妊娠中の心がまえは」とたずねると,ほとんどの妊婦は「栄養を十分にとって健康に注意したい」と答える。妊娠中は栄養が大切だという認識は皆もっているようである。では,十分な栄養をとるために具体的にどういうことに注意しますか,ときいてみると,「牛乳をのむ」「好き嫌いをなくす」「たくさん食べる」……かえってくる答えはせいぜいその程度である。外来で妊婦と1対1で食事の指導をしていて,そこで感じることは,非妊時の1日にとるべき食品や食物の量あるいはめやす量など,基本的な考え方について知らない人が実に多いことである。妊娠中の異常を防ぐには,まずこの非妊時からの健康管理に十分注意する必要がある。そのために常に食生活の充実を心がけ,さらに実践していなければならない。そのうえで妊娠中,授乳中の各期における栄養素等の付加量を知り,それに見合うように食品や食物の選択をしていくのである。
当院では,妊娠中に4回,つまり初診,4か月,7か月,10か月の健診時,必ず保健指導室で指導をうけるシステムになっている。栄養については4か月指導のときに,栄養士が個別におこなっている。4か月という時期は,これから胎児が発育しはじめるときである。つわりもそろそろおさまり,妊婦自身に食事に対する積極性がみられ,栄養教育をするのにいい時期である。
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