Medical Scope
てんかんと妊娠
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.60
発行日 1979年1月25日
Published Date 1979/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205493
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合併症妊娠の症例はだんだんと増加の傾向にあります。この事実は,私たちの産科学が発展の一路をたどっているために,今までは妊娠できなかった女性に,妊娠,分娩の機会を与えられるようになったひとつの証拠ともいえましょう。その合併症妊婦のなかでも,てんかんの妊婦はかなりのパーセンテイジを占めるものです。一般的にいって,てんかん妊婦は全妊婦の0.15%ぐらいだといわれています。妊娠中にけいれん発作を起こすと,私たちは子癇の発作と区別しなくてはなりませんし,その発作中に胎児への循環はどうなっているのだろうとたいへん心配するものです。今月は,そのてんかん妊婦の話題を考えてみました。
てんかんそのものは妊娠にどんな影響を与えるのだろうかというと,現実には,あまり問題とならないようです。その証拠に,皆さんも,てんかんの妊婦が何の合併症も示さずに正常分娩していったという症例をたくさんもっていることと思います。次に,この裏側を考えてみましょう。妊娠というできごとは,てんかんという疾患に対してどういう影響を与えているのでしょうか。これはやはり,てんかん発作を増加させるひとつの因子として数えられているのです。それだけ母体に負担を増しているといった考え方が適当でしょう。
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