増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント
II ハイリスク妊婦の管理
てんかん合併妊娠
大浦 訓章
1
,
青木 宏明
1
,
岩崎 弘
2
1東京慈恵会医科大学産婦人科
2東京慈恵会医科大学精神科
pp.348-354
発行日 2015年4月20日
Published Date 2015/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208403
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POINT
◇てんかんとは,「さまざまな原因により起こる慢性の脳の病気であり,大脳の神経細胞の過剰な活動に由来する反復性の発作(てんかん発作)を主徴とし,これに変化に富んだ臨床および検査の異常を伴うもの」とされている.
◇てんかん合併妊娠には次の問題点がある.
(1)妊娠によるてんかんへの影響
全妊婦の0.3〜1%にてんかんを合併する.妊娠前と同じ内容・量の抗てんかん薬を服用していた場合,7〜25%は発作頻度減少.20〜33%は発作頻度増加,50〜83%は不変とされている.
(2)妊娠中の発作が妊娠経過や胎児に影響しないのか?
全身けいれん発作は胎児の低酸素状態やアシドーシスを招くため,流早産や胎児の脳障害を引き起こすリスクとなる.それ以外の発作は基本的に妊娠経過・出産に影響しない.
(3)抗てんかん薬の服用により児に影響を及ぼさないのか?
薬剤により異なるが,原則として薬剤数が少ないほど,服用量が少ないほど,血中濃度が低いほど児への影響が少ない.よって単剤・低用量での投与が望ましい.特に妊娠経過における第1三半期はcritical periodとされ,薬物曝露の影響が強い.
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