私と読書
—「母子関係の理論【Ⅱ】分離不安」を読んで—膨大なデータによって解明された母子分離がもたらす影響
佐藤 秀子
1
1国立病院医療センター付属看護学校
pp.608-610
発行日 1978年9月25日
Published Date 1978/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205438
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読みごたえのある内容は第1巻・愛着行動と同様であることはいうまでもない。母性的人物の存在,不在が子供の情緒を左右する最大の決定要因になる(第1巻),に引続き,子供にとって,その母性的人物の存在がいかに重要な意味を持っているかが,いっそう明らかにされている。「……本書は乳幼児が特定の事態におかれた場合にどのように振舞うか,ということについての観察にもとついている。これらのデータを参考にして,初期の年齢におけるパーソナリティの機能を考慮し,更に将来のパーソナリティの発達を研究しようとするのである。特に,乳幼児期において発生しやすいパターンを観察し,それにもとついて同様な反応のパターンがその後のパーソナリティの機能にどのように示されるかを追跡しよとするのである」(P.28)
子供の情緒発達上最も望ましくない要因は母子分離であり,これを主題として全体が3部から構成されている。
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