今月の臨床 帝王切開
帝王切開の実際
27.胎児娩出の工夫
菊池 三郎
1
Saburo Kikuchi
1
1日本医科大学第二病院産婦人科
pp.714-715
発行日 1992年6月10日
Published Date 1992/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900899
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子宮下部中央で子宮壁を横切開すると,胎胞が膨隆するので破膜する。羊水が流出したならば,吸引器やガーゼを使用して羊水を除去することが必要で,これを怠ると児は羊水を吸引して,初発呼吸が遅延する可能性がある。子宮壁の切開創より,術者は全指を揃えて(術者が産婦の左側に立ったときは術者の左手)児頭と子宮壁内側の間に挿入して頭頂を通って後在の耳介の上近くまで達した後,術者の手掌と手指の上に児頭をのせるようにして子宮壁創に誘導する。
児頭の骨盤内への下降が顕著で,術者の手指の挿入が困難である時は,助手が経腟的に児頭を押し上げるのも有効である。また,助手が両手を産婦の側腹部にあてて,胎児を子宮底の方向へ引き上げることも,術者の手指の挿入を容易にさせる。児頭の後方に挿入した手指で児頭を持ち上げるようにして子宮壁創から娩出させるが,この時助手は子宮底に近い体部を産婦の背部に向かって圧し下げると,児頭の娩出は容易となる。
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