インターホン
妊婦になって思うこと
河嵜 秀子
1
1国立呉病院・産科
pp.427
発行日 1974年8月25日
Published Date 1974/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204739
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結婚とともに職場も広島赤十字病院から国立呉病院に変わり,新生活にも,新職場にも慣れぬうちに妊娠。助産婦なのだから,計画的に妊娠すれば良いものを,夫の年齢31歳,妻の年齢26歳を考えていたら,そうモタモタもしておれないと思いフリーでいけばあんのじょう—。うまく妊娠できるかしらと不安に思っていた時のことが嘘のよう,成熟した男と女であったことが証明された。間もなく訪れたつわりは,何とも表現のしようがないほどに不快なものである。
私の場合は早朝,嘔吐症のようなものはなく,朝の目覚めは爽快だったが,いつも何かを食べていなければ気分が悪くなった。嗜好にも変化がおき,酢の物はさっぱりうけつけなくなり,油っこいものが好きになり,口内異和感は現在も続行中である。姑と同居なので,ここで嗜好がまったく合わなくなり,とても情けない思いをした。早くから後家となったためか,勝気で口調の強い姑とは何かにつけていざこざがおき,このつわりの時期ほど,感情に動揺をきたしたことは今までになかった。また,この時ほど核家族の人を羨ましいと思ったことはない。
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