連載 合併症と妊・産・褥婦
肺結核—妊産褥婦における管理のポイント
藤森 速水
1
1大阪市立大学・至誠会関西病院
pp.40-43
発行日 1973年12月25日
Published Date 1973/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204620
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1.はじめに
妊・産・褥婦の合併症にはいろいろあるが,肺結核は生命に危険をおよぼす疾病であり,ことに妊娠中や分娩前後,産褥中には,特別変わった経過をとること,また伝染性ことに家族感染を起こして一家全滅という悲惨な事態をも招きやすい点において,非常に警戒を要する合併症である。しかもこの合併症の経過は,妊産褥婦を管理する看護婦や助産婦の適切な処理いかんに左右されること,大である。
ただ近頃,結核治療の進歩や普及によって,結核患者が減少したので,とかく,結核ことに肺結核の危険性が軽視されがちであるが,実際は楽観できない状態にある。何となれば厚生省の受療率統計(1969)によれば全結核(肺結核を主とする)は人口10万人に対し,195を示し,癌の50,糖尿病の57に比し3倍以上で,死亡率はアメリカにおける5倍,オランダの11倍であるからである。
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