MEDICAL SCOPE
新しい新生児の外耳道液検査
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.56
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204254
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前期破水や早期破水があったときに,腟を通じて羊水に細菌感染が起こり,それから胎児にも細菌感染は発症し,出生した新生児は肺炎になったり,敗血症(菌血症)になったりすることは,すでによく知られています。一般に,破水後数分で,腟内の細菌は羊水中に出現し,破水後3時間以上経過すると,胎児に細菌感染症を起こす可能性が出てきます。ですから,前期破水・早期破水の場合は,母体に抗生物質を投与して,胎児への細菌感染をも含めて,母体の治療を行なうのです。それには,羊水に多く出現する,つまり移行する抗生物質がよく使われます。
新生児は非常に細菌感染症になりやすく,たとえ敗血症という状態になっても,なかなか診断がつきにくいので,つい発見が遅れて,死亡率が高くなってしまいます。細菌感染症は常に新生児死亡原因のベスト・スリーにはいっているのをみても,この事実がよくわかるでしょう。そこで,私たちはできるだけ早く,出生したら,その新生児が,羊水を通じて細菌感染を起こしているかどうかを診断したいのです。もし,細菌感染が起こっているのなら,すぐ出生日から抗生物質を投与して治療し,敗血症による死亡を防がなくてはなりません。
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