研究・調査・報告
紙おむつの研究
吉田 らし
1
1大阪大学医療技術短期大学看護科
pp.36-41
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204249
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I.はじめに
近年の目ざましい経済成長は,豊かな消費生活を生み,日常生活のなかでもディスポーザブルの紙製品の侵入が多くみられている。パンツ・フキン・タオルなど種々のものが紙化されており,使用したあとごみくず箱ヘポンと捨てられ便利である。毎日10数枚使用される赤ちゃんのおむつも,紙おむつが製品化されて以来,長い梅雨期,共稼ぎの母親,また外出時など,非常に便利なものであり,これを使用する母親も増えている。しかし最近紙おむつを使用しての殿部の湿疹もときどき聞かれる。母親,使用者側の便利さ,また製造者側の宣伝などにより,安易にこれが利用されていたのでは当の赤ちゃんはたまったものでない。現在特別の品質管理,品質基準のないこの紙おむつに対して,このままの状態でよいものであろうか。みずから外界の刺激・危険・苦痛に対して言葉で訴えることができず,また刺激に対して弱い皮膚,抵抗力の弱さなどを考えるとき,はたして現在の紙おむつが,そういう面において十分考慮されたものであるかどうか,疑問に感ずる。
本報告は紙おむつ自体がもつ吸収・浸出性などの機能面および使用紙の純度,細菌学的清浄性などから,紙おむつの品質に関する実験を通して若干の検討を行なったものである。
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