研究・調査・報告
低出生体重児における布おむつと紙おむつのかぶれ発生率の臨床的比較
野田 蓮子
1
,
茂木 博美
1
,
藤田 千鶴子
1
,
飯田 原子
1
,
西富 良朗
2
1日本赤十字社医療センター新生児未熟児室
2日本プロクター・アンド・ギャンブル社研究開発部
pp.54-57
発行日 1985年1月25日
Published Date 1985/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206580
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はじめに
乳幼児の皮膚特性は,加齢とともに変化し,皮膚の保護作用や自浄作用は徐々に強化されていくが,朝田1)は新生児の皮膚特性に以下のような特異性があると報告している。
1)表皮・真皮ともに成人のそれより薄く,かつバリア層の発育が未熟であるため,外からの細菌や各種刺激に対して防御能力が弱い。 2)表皮の水分含有量は成人に比べて多く,表皮細胞個々の接合も弱く解離しやすい。このため新生児皮膚では表皮内水疱が生じやすい。 3)新生児皮膚のpHは胎脂(vernix caseosa)のためアルカリ側に傾き,往々pH7.0以上のアルカリ性を示す。成人皮膚ではpH5.6〜6.0位が通常であり,表皮pHがアルカリ側に傾くと細菌が増殖しやすくなり,細菌感染に対して抵抗力が弱くなる。 4)新生児では発汗中枢が未熟で不安定で発汗しやすく,あせもが生じやすい。汗のため表皮pHはますますアルカリ側に傾き,細菌の増殖や二次感染を生じやすい。
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