特集 現場助産婦症例集
産科多忙症
永井 美江子
1
1東京女子医大第二病院
pp.49-52
発行日 1971年1月1日
Published Date 1971/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204052
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106床(うち未熟5床)の産婦入科混合病棟で,1カ月平均分娩数120例と婦人科疾患手術入院患者とで,ベッドの回転率90%。毎日忙しく,あわただしさに追われております。あるときは6床の陣痛室,4床の分娩室まで入院室満床で,やっとその日の退院患者を待ってベッドのリネンを交換し,ただちに分娩終了している褥婦を病室に移してホッとして帰宅,また翌朝出勤すると,陣痛室分娩室まで満床といった具合です。
しかし,毎日のあおただしさのなかにも,1つの生命から新しい生命が生まれてくる瞬間に,真っ赤な,それこそ人間とは遠い感じの赤ん坊や,無事分娩を終了した母親のよろこびの涙にぬれた平和な顔や,家族の安堵の顔に接するとき,また母親よりも父親よりも先に赤ん坊を抱き上げる感激を得るとき,また家人へ電話連絡したり,電報を依頼するなど,助産婦として1例1例の異なった分娩をはたし得たという職責を老えるとき,心身の疲れも心地よく,この職ならでは味わえぬ快楽の心境になります。
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