特集 心身障害児
座談会
母親たちは訴える—(整肢療護園母子入園の母親たち)
谷 みゆき
pp.40-46
発行日 1970年7月1日
Published Date 1970/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203955
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
司会 最近非常に肢体不自由児が増加しているという話です。それがしかも,未然に防げたものが,たとえば妊娠時や分娩時に母体がもっと手厚く保護されていたならば,こうした結果を生まないで済んだんじゃないかとか,原因はたくさんあるわけなんです。しかもこれらの原因が,従来世間では,母親の不注意だとして片づけられているわけです。しかし,その原因を追及してみると,決して母親の不注意だといったような単純なものではなくて,施設側,あるいは医師とか助産婦のミスだったりするわけですね。しかも現在のように産科医とか助産婦は取り上げたままで,あとのことはもう責任持ってないわけです。それで生まれた子供たちはほったらかされているのが現状なんですね。その上,森永の砒素ミルクみたいな公害によって子供たちが不自由児になったり,それからサリドマイドにおかされたりして,子供たちがたくさん犠牲になっているわけです。
それで,こうしたことが再び繰り返されてはならないと思うので,きょうはおかあさま方にその原因をはっぎりと出していただいて,病院や産院に対する怒りをぶちまけていただきたいんです。これは単に個人的な問題じゃないわけですね。今後医療をよくしていく道につながっているし,それから今後お子さま方がお育ちになる中で,その原因を明らかにすることは,偏見や差別を取り除いていくことだと思うんです。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.