婦人の目
教育ママの赤線論
山主 敏子
pp.52
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203677
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近年性病が急激に増加している.おとなばかりか乳幼児にまで広がって,大阪市の調査によると,ここ10年間の15才以下の子どもの性病患者の増加率は233%にのぼっているというのだから,なんとも恐ろしいことである."だから売春禁止法などやめればよかったのだ"という男性は少なくない.ところがこのごろはお母さんたちまでが赤線復活に賛成しているときいて,これはまたどうしたことかと驚かされた.従来女性は100人が100人とも,赤線の存在に反対の立場をとってきていたはずだからである.
この問題を取上げた記事が,婦人倶楽部12月号にのっていた."教育ママの赤線復活論"がそれである.この企画はそもそも1読者の投書に端を発している.投書の主は最近満1歳の姪が梅毒にかかるというショッキングな事件にぶつかった.乳児の梅毒はすでに第2期に進行しているとき,ようやく発見された、それからが大さわぎ,まず疑われたのは夫,次は妻,姑はさかんに嫁を責め立て,一家の幸福はめちゃめちゃになり,離婚さわぎにまで発展した.
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