グラフ
新しい幼児教育に育つ—上智大学付属「うめだ子供の家」(東京)
檜垣 日出男
,
本誌編集室
pp.2-8
発行日 1968年9月1日
Published Date 1968/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203613
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「モンテッソーリ協会」なるものをご存じだろうか.今から2年前,幼児教育の実践家,哲学者,医者が30名余り集まり,講習会が持たれたのが発端.亡きイタリアの精神科の女医,マリア・モンテッソーリの幼児教育の考えを受けつぎ,画一主義に反抗する立場を取り,"大入中心の世界"から"子どもも市民権を持つ世界"への移行をめざす後継者を育てるのがそのねらいのようだが,今ではメンバーも500名を越え,着実な歩みを見せている.その実践の場として,昭和40年10月,東京都足立区梅田に,上智大学文学部社会学科社会福祉の付属施設「うめだ子供の家」が建てられた.先年イタリアから帰ってこられた同所主任の赤羽恵子先生の指導のもとに,モンテッソーリの「子どもの自発性,創造性を伸ばす」という考えを実践すべく,多種多様な試みがなされているが,同所の子どもたちの動作や表情も,自然でのびのびしていて明かるく,まさしく"子どもの天国"という印象を受けた.
「うめだ・子供の家」には,共かせぎの家庭の子どもが多い.乳児を含め,現在122名の子どもたちがいるが,その8割は福祉事務所の紹介によるものである.費用は,個々の家庭の事情によって金額が異なるが充実し徹底した内容からみると,びっくりするほど安い.
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