母性教育講座 思春期
現代の女子高校生の性に対する関心—女子高校生のアンケートから
大川 知之
1
1福島医科大学産婦人科
pp.23-28
発行日 1967年9月1日
Published Date 1967/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203452
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はじめに
最近婚前教育という言葉が目につくようになってきました.一方同じような言葉に結婚教育という言葉もあります.これらの本来の定義は別として,いずれにしても結婚観を中心とした将来の家庭生活,そして夫婦生活について純粋な指導教育を授けるのがその目的ではないかと思う.ところが最近の社会的背景を考える時,結婚教育とはすでに結婚しようとしている男女一組のもの,あるいは少なくとも将来正しい結婚観に基づいた結婚を希望するものの求めているものが結婚教育であり,反対に婚前教育とは,結婚前にたびたび惹き起こされている不純な行為,例えば未成年者の異性交遊,未婚者の妊娠,未成年者の分娩,それから派生する非合法的な人工妊娠中絶(堕胎),捨児などの一連の犯罪,また性教育の無知からくる妊娠にまつわる死亡事故,さらには青壮年層への性病の蔓延など,事実近年はこれらの憂慮すべき事件があまりにも多く,以前のような純粋な婚前教育を考える前に,本人の意志を無視してまで社会的に主として性教育を半強制的に教育を行なうのが,婚前教育ではないかと私は考えざるおえないのであります.もちろん私は倫理学者でも結婚教育についての資格のあるものではありませんが,産婦人科の一臨床医として,今日のこれらの社会的背景を身をもって経験してみますと,婚前教育のあり方について多少の疑問を持たざるをえないのであります.例えば
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