北から南から
全国唯一の助産婦会診療所を経営する栗田ヨシさん
pp.29
発行日 1967年8月1日
Published Date 1967/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203438
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助産婦会が医師をやとって,産科の診療所を経営しているのは,全国でただ一つ福岡市にある.36年に診療所を作って6年,4,300人をとりあげ着実に歩んでいる.「戦後自宅分娩が少なくなって,このままでは開業助産婦は失業するので,やむなく自衛手段をとっただけ」というが,開業していちおう成功していた人もあり,設立のとき反対の声も強かった.
それを共同自衛という大義名分で「強引に押しきっただけ.反対者は脱会しましたけど,みんなの仕事がうまくゆくのが大事」と語る.元県助産婦会長だっただけに,政治力もたいしたものらしい.福岡市役所の課長にも,栗田さんからとりあげられた人がいる.「本人はくすぐったいでしょうけど,私にとってはいつまでも赤ん坊みたいにかわいい」とニッコリ.この産婆さんの政治力と顔の広さが,現診療所建設のさい,市費2百万円の補助や県有地借りに役立ったのかもしれない.
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