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沖繩における公衆衛生看護活動(2)
伊藤 隆子
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1厚生省医務局看護課
pp.49-52
発行日 1965年5月1日
Published Date 1965/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202977
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沖繩の母子保健の実情
つぎに母子保健事業について重点的に述べてみると,前回にも記した通り,沖繩の公衆衛生活動は結核に主力がそそがれているところから母子保健に関しては,政府および民間の人びともこの必要性は認識していながらも実際には甚だ低調で,これの実施は今後に残された大きな課題の1つである.私が琉球政府からの要請で出張した目的も,公衆衛生看護婦および助産婦の活動を今後どのようにして取りあげて行くかについて,わが国の活動方法等を参考にするため何かよい助言が得られるのではないかとの期待によるものであったが,すでにこの事業を10数年つづけ,しかもまたちがった意味での変換をなそうとしているわが国の現状とは大きな開きがあり,実際にはあまり役に立たなかったのではないかと思っている.
しかし,公衆衛生看護活動を政府の一環した組織のもとで行なっている沖繩では,この事業を政府自らが本格的にとりあげる心構えさえできれば,将来はむしろ官民一致した組織活動に発展することができるのではあるまいかと期待されるし,その点では,市町村単位で公看が配置されていることが市町村民との結びつきのうえで大きな効果をもたらすことも可能になってくるであろう.ともあれ,現状では民間人そのものが,妊産婦や乳幼児の保健ということに対して,その関心も少なく,知識も低い.これは,妊娠の届出が出生数に対しわずかに7.62%にすぎず.
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