特集 事務長
期待される事務長像
棟久 一夫
1
1山口県立中央病院
pp.40-41
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202782
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病院管理が従来までの診療,看護中心のあり方に加えて,これと並んで経営管理の面が重視され,経営管理が十分行なわれない所には,病院事業の発展が期せられないことは識者の一致した意見である。したがって事務長に純粋の診断業務以外の病院の管理業務全般について,直接院長を補佐するスタッフとしての役割を強化することが当然要請される。
現今,医学医術の進歩,疾病構造の変化,国民生活の向上,地域開発の進展などに対応するためには,病院機能の整備と,その拡大が必要であることは論を待たないが,そのためには医療設備,機械などの充実,よき医療スタッフの確保,看護サービスの充実,給食,寝具サービスの向上,患者の生活環境の整備,病院構内の庭園化の問題,さらには包括医療,救急医療の実施など病院に課せられた責務ははなはだ大きい。しかもこれを達成するための社会的条件はいちじるしく整っていない。すなわち医療制度,社会保険医療制度,診療報酬体系などの抜本的改善が行なわれない限り,越えがたい壁が横たわっている。これら困難な条件に加えて,病院事業は内部的には多数の専門職種の職員を擁し,分業の協業化が行なわれる組織である。したがって人間関係は極めて複雑多岐である。職場環境はよくない。病院に高い公共性を要請されるが,経営的には合理化の困難な要素がはなはだ多いのが病院事業である。
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