らいぶらりい
—水野 肇著—日本の医療,他
大谷 藤郎
1
1厚生省公衆衛生局精神衛生課
pp.46-47
発行日 1964年11月1日
Published Date 1964/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202869
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「日本の医療は応仁の乱にたとえられている」と著者はいう.「だが,その割には,どこがどう混乱していて,ここにほんとうの問題があるのかということがわかってないようだ.だから,表面だけの問題点だけでなく,その根底がどこにあるのかを探ってみよう」それで,できるだけ「2年間,足で書いてみた」ということで,この頃特にやかましい「看護婦問題」,「インターン問題」をはじめとして,「開業医」,「診療と健康管理の病院」,「対ガン運動」,「医療果つるところ」,「氾濫する新薬への処方箋」,「大気汚染の犯人と被害者たち」,「交通救急病院の設立をいそげ」など日本の医療の今日的な問題について,それぞれルポとしてまとめられている.
ジャーナリスト出身著者らしく,軽快なタッチで映画のように情景をうきあがらせてゆく手法は,ややもすれば乾燥しがちな従来の科学評論にくらべてきわめて印象的で,興味ある読みものになっている.医療従事者以外の一般国民にとっても,読みやすく理解しやすいものであろう.私はかねがね医学・医療に関する解説や評論が一般国民に十分わかりやすく理解してもらおうとする努力に欠けている点を残念に思っていた.
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