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書評 日本の病院の歴史の大きなうねり―福永 肇(著)『日本病院史』
武藤 正樹
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1国際医療福祉大学大学院 医療経営管理分野
pp.317
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102761
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もともと経済学徒である著者は,経済学を学ぶ上での基本視座は理論,政策,歴史にあるという.この視点で「医療」を振り返るとき欠落していたのが病院の歴史だ.『日本病院史』は,このような著者の問題意識から執筆された.これまで断片的な知識として存在していた我が国の病院の歴史を,時間軸にそって整理して「通史」という体系にまとめた力作だ.本書を通読すると近代日本の病院の歴史の大きなうねりを体感することができる.
さて我が国が近代システムとしての病院を導入したのは長崎の出島である.それ以来,現在に至るまで我が国の病院の歴史はたかだか150年である.パリのオテルデューが1350年以上の歴史を有するのに対して病院後発国,日本の病院の歴史はいかにも短い.しかしその150年は世界的に病院システムが最盛期を迎え,「病院の世紀」といわれた20世紀の真っただ中に位置している.
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