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フラゴナール「手紙」Jean-Honoré Fragonard "La Lettre"—油彩1776年作ニューヨーク・メトロポリタン美術館
pp.21
発行日 1964年10月1日
Published Date 1964/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202842
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18世紀のフランス絵画は,普通ロココという名で呼ばれています.ロココという名称は,もともと室内装飾の一部を指すもので,優美で繊細なものを意味します.この時代のフランスの画家たち,たとえばワトーやブーシェの作品を見てもこの特徴があきらかに認められると思います.
フラゴナールは南フランスの香水の町グラースで生まれました.母親に連れられてパリーに出た彼は,やがてブーシェの門に学びます.ヴィーナスの画家と呼ばれるブーシェは,数多くの作品にもっぱら女体の美しさを淡紅の色彩で描いた画家ですが,フラゴナールもまた,肉感的な女性像や恋愛描写の場面の描写に,独特の画風をつくり上げた人です.絵の主題や手法の上で,この師弟ほど気の合った例は珍しいといわれますが,この意味で彼もまたロココの系統をひく画家であるということができるでしょう.
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