母性保健特集講座 産褥の異常
産褥時の異常出血
吉田 貞一
1
1聖バルナバ病院
pp.14-17
発行日 1964年10月1日
Published Date 1964/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202839
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I.はじめに
産褥期には,妊娠および分娩によって生じた性器および全身の変化が,おおよそ妊娠前の状態に復帰する.ことに性器は分娩後急速に解剖的,機能的変化が行なわれる.この性器の復古現象に伴って子宮および膣から分泌される悪露は,分娩後4〜5日で赤色から褐色となり,さらに8〜9日で子宮内創傷の治癒に伴って血液成分を減ずるとともに次第に黄色に変じ,以後漸次その量および色調を減少し,4〜6週に至ってまったく停止するに至る.
この悪露の全量は約500〜1,000gであり,そのうち約4分の3は産褥初期の約4日間に排泄される.分娩終了後,正常産褥初期の出血量は,Newtonによると,分娩後1〜24時間で平均約84cc,24〜48時間で18ccである.鈴村は産褥初期5日間の出血量は169.8ccで,前者と同様第2日以後出血量は激減すると述べている.
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