奇形児の問題・3
妊婦の摂生と薬
大島 正雄
1
1母性科学研究所
pp.49-51
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202685
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1.奇形の外因
奇形の成因の問題は,すでに述べたとおり,不明の点が多いというより,何もまだわかっていないといった方がよいかもわかりません.
この奇形は《悪質の遺伝》というふうに考えられていましたし,確かにそうと思われるものもあるにはありました.しかし,いろいろしらべてみると,そうばかりはいえないこともだんだんわかってきました.たとえば一卵性双胎で一方に奇形があるとき,他方の奇形は,半分またはそれ以下の割合といわれています.一卵性双胎は《瓜二つ》というほどによく似ているのですから,奇形もほとんど同じ割合に現われてもよさそうなものですが,それが予想以上に少ないのは,あながちその奇形が遺伝ばかりの問題ではないことを示しているのです.
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