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高い高い山を征服したような気持—お産を体験した助産婦の記録
進藤 歳子
1
1東京都立築地産院
pp.42-43
発行日 1963年10月1日
Published Date 1963/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202629
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この原子時代に私は原始時代の人も同じように経験したであろうと思われる分娩を,幸か不幸か経験しました.妊娠中は分娩に対する不安はまったくなく,ずいぶんのんびりしていました.血性分泌も少し色がついていたかな,ぐらいにしか思い出せず,初覚陣痛も太い竹の針ででも突かれたような感じで,子宮収縮もお腹が冷えて張るのかと思い込み,3回めぐらいの収縮でやっとこれは分娩開始だとわかり,はじめての経験というものはぴんと来ないし,わからないものでした.助産婦だからお産のことはわかるでしょうね,といわれ,私じしんもわかっているつもりでしたが,それは分娩させることは専門家であるが,分娩することははじめてでしろうとと同じです.
いちばん感じたのは,子宮収縮の時です.30秒ぐらいの発作は腹式呼吸でまに合ったが,1分間以上の収縮となると,進行期は痛いと感じないが極期になるとやはり痛いということばで表現してしまう.たとえば片方の腕に60kg以上もある物をぶら下げたら,はじめは重いと思うが,終わりには痛いと感ずるように,極期もそのような感じがする.
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