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母子家庭,低所得階層の母へもいこいを—母子休養ホームについて
植山 つる
1
1厚生省母子福祉課
pp.40
発行日 1963年6月1日
Published Date 1963/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202556
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38年度予算で家事や育児,仕事に追われて休む暇もないお母さんたちのため母子休養ホーム(ママの別荘)4カ所を国の補助金でつくることになった.その動機は直接的に最近の家庭,職場,住宅,交通などの関係から身心ともに疲れきっているお母さんたちが,私の周辺をみただけでもたくさんいる.関接的には家庭裁判所や,少年審判所へくる人たちの多くは,暗く生活に疲れ,ある人は多少病的のように見うけられ,夫と別れようとしている妻,非行児をもつ母たちの姿を現実にみて,家庭の健康対策の一つとして実現することになったわけである.先般西独の保健大臣シュウァルツムウスト女史が来日されたとき,西独の経済の高度成長のため母性の休養ハウム(280カ所設置)は大きい効果を上げていると話された.そしてその運営は非常に科学的な設備をもって人間再生産の役割をしているようである.この点わが国の母子休養ホームはお粗末になりそうだが,将来はグループワーク,ケースワークのできるハウスマザーや,健康上の相談指導のため保健専門者などが置かれ,積極的レクリエーションの場になるよう明るい希望を持って年度内に出発させたいと思っている.
実施は都道府県で,運営は県または委託事業にしても差支えない,構造設備は休養にふさわしい静かなところで,子どもをつれた母の誰しも行けるような地域をえらび,設備は宿泊設備の外子どもたちのために保育室,遊戯室,娯楽室をとくに設ける.
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