母性保健特集 1.その総論
医学の立場からみた母性保健
中嶋 唯夫
1
1日本赤十字社本部産院
pp.12-15
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202482
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一般婦人が気がるに医者を訪れられるよう努力したい
表題に忠実にと考えてみますと,さて母性とは,あるいは医学とは何か,対象があまりに大きく何から述べようかはなはだ迷います.かいつまんで考えますと,母性とは将来母となり,現在母となりつつあり,また既に母となっている人々をと考えるのが当然であろうと思います.WHOなどでも対象として把握しやすく,その実も明確に期待できますことで,出産をめぐって,種属維持の健全さに重点をおいておりますように考えられます.いいかえますと産科学が現在その中心となり,皆さんもあるいは皆さんの立場からしてもこの原則の中に母性保健がありますようにすら考えられておられると思います.しかしこのような範ちゅうから母性保健を考え,指導してまいりますと,私とてそうですが,何か物足りない,ぬるぬると手の間からもれている何物かがあるような感じをうけることと思います.現代医学が進み,治療の面が進んでまいって,改めて精神身体医学の面が強調されています.また私共に身近かな問題として取り上げられております計画出産も,現在理想的な形としてあるかないかは別問題といたしまして,最終手段に訴えれば何とかその目的が達せられますが,こうなってまいりますと逆に"子供をほしがっている人々"は等ということが,改めて脳裡に強く浮んでくるものでございます.
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