講座
会陰裂傷と看護
名取 光博
1
1都立築地産院
pp.50-51
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202443
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1.まえがき
分娩介助の目的は母体を助け,健康な児を娩出させることにあると思う.どんなに健康な児を娩出させても,母体の生命を失つては,なんにもならない.
最近では,広くは医学の進歩により,狭く考えれば産科学の進歩によつて,ほとんど母体の予後に対する心配はなくなつてきた.新生児の予後も妊娠中から分娩前後へかけての指導や,適切な処置がなされるようになつてから,急激に良くなりあまり問題にならない時代に移りつつある.おそらく,将来は,胎生産科学,遺伝産科学などという言葉が生れ,産科学の中心課題になつてくるのであろう.しかし,現在の産科学は,治療医学でいえば対照療法的な面が強く,分娩をより楽に終了させ,できるだけ母児を傷つけない方向に努力する場合が多い.予防産科学の発展が待たれる.
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