--------------------
私達の行っている産科看護—特に分娩経過図表について
村 吉子
1
1高知日赤産婦人科
pp.25-29
発行日 1962年8月1日
Published Date 1962/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202383
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
産科病棟勤務の助産婦・看護婦の1日は実に忙しい.母児の尊い生命を直接この手であずかる私達は,ほかの病棟とは性質を異にしており,分娩経過の鋭い観察,助産,新生児保育,妊産褥婦の保健指導と特殊な技術と能力とを必要とする.特に分娩第1期より第3期にいたるまでの詳細かつ鋭い観察力は助産婦に荷せられた重要な責務である.何故ならば第1期より分娩完了まで医師は常時産婦の観察にあたつているわけでなく,私達助産婦および看護婦がたえず産婦の観察と看護を行ない,刻々変化する経過に対する適切なる判断と医師への正確な報告とが必要となつてくるわけである.にもかかわらず時に思わぬミスをすることがある.その際に,その原因を分析検討する根拠となる看護記録が如何に不確実なものであるかを身をもつて思いしることがしばしばであつた.
すなわち,従来私達は,陣痛・心音・子宮口開大等の経過を看護日誌に記録し,さらには医師への報告という方法をとつていたが,それらの記録事項には一定した規準がなく,時にはくわしすぎたり時には簡単すぎたりして重要な事項を見逃してミスの原因を追求することが不能なことがあつた.そこでこれらの問題を少しでも解決すべく分娩時の経過観察について研究したことを述べてみたいと思う.
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.