胎位胎勢講座・1
後方後頭位分娩について
山田 衛
1
1九州大学医学部産婦人科学教室
pp.37-40
発行日 1961年3月1日
Published Date 1961/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202090
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まえがき
分娩には頭位,骨盤位,横位等種々の分娩様式がありますが,その中で最も多いのは御承知の如く頭位分娩であり,Martiusは頭位分娩はすべての分娩の96%を占めると述べております.その頭位分娩の中でも最も多いのは,私共が普通見かけている前方後頭位でありまして約94%を占めております.2%がいわゆる頭位の第2分類でありまして,その中にこれからお話ししようとする後方後頭位分娩が含まれています.
後方後頭位分娩とは,児の後頭部が先進し,しかも児の顔面を母体の恥骨側に向けて分娩する場合の事でありまして,ともすれば顔面を恥骨側に向けて分娩した頭頂位や前方前頭位等と混同されやすく,間違つた診断をつけられる場合もあります.さらに本分娩は一般に分娩時間も延長し,種々の合併症も起しやすく難産になることが多いので,診断を確実にし,時期に応じた適切な処置が望ましいのであります.また本分娩様式の成立機転についても種々論議されておりますが,レ線による骨盤形態の解明と共に新しい報告が次々となされております.以上のような観点から,最近3年間の九大産婦人科で分娩した後方後頭位分娩例について,臨床的な観察を行つてみました.
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