八戸地方の未熟児と私の哺育経験—過去5年間の資料と体験例から

はじめに

　かねて長い間関係者の間に望まれておりました未熟児に対する政府の具体策が最近漸くその保健行政の一端に，極めてささやかではありますが，保健所への保育器の設置や療育費給付という様な形で具体化してきましたことは私達「赤ちやん」を取扱う立場にあるものにとつて非常に喜ばしいことのひとつであると思います．

　未熟児の発生をどうして少なくするか，或はまた生れ出た未熟児をどうして死なない様に丈夫に育てるかという事に関連する問題はたくさんあると思いますが，今回この機会に私の住んでいる八戸の未熟児の実態をながめ同時に過去5年間の私の未熟児哺育の体験を整理して紹介し，御批判をいただき，今後同じ立場にある人々の参考資料としたいと思います．