映画紹介
森と湖のまつり—(東映作品)
外輪 哲也
pp.41
発行日 1959年1月1日
Published Date 1959/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201610
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雑誌「世界」に4年間に渡つて連載された大河小説,武田泰淳著「森と湖のまつり」の同名映画化.植草圭之助が脚色し,「血槍富士」「どたんば」「大菩薩峠」などの内田吐夢が演出にあたつている.
北海道,阿寒湖に近いアイヌ部落に,女流画家佐伯雪子はアイヌを描くために訪れる.アイヌには,民族の純血を守ろうとするものと,アイヌであることをひたむきに隠そうとする二派がある.風森一太郎は純血を守ろうとする闘士であり,アイヌ民族の衰亡に悲憤し,和人と混合つた者へ復讐を誓つてあばれまわつている.一方,一太郎に対する討伐隊にはアイヌであることを秘す大網元の息子猛がいる.雪子はこの争いの中に巻き込まれるが,次第に精悍な一太郎を愛するようになり,一太郎の手紙を持つて大網元の家を訪ねる.その手紙は桃戦状だつた.やがて単騎乗り込んで来た一太郎に雪子は抱きあげられ,たどりついた山小屋で強い腕に抱きすくめられる.ベカンベ祭りの日,一太郎と猛の決闘が行われた.一太郎は顔面に散弾をあび血みどろになるが,やつと猛を組み伏せる.が,その猛から「お前もアイヌと和人の混血児だ!」と決定的な真相を聞かされて,力なく立ち上り,雪子が彼の子供も宿しているのも知らず,湖に丸木舟を漕ぎ出して,消息を絶つてしまう…….
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