隨筆
医師と服装
中山 安
1
1東横病院
pp.41-43
発行日 1958年11月1日
Published Date 1958/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201575
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ある眼科の先生が真夏に猿股だけの丸裸で診療していたところに友人が訪ねて行つて,暑いさかりではあり無理もないことではあるが,あまりにもぶざまの診療姿なので,君,裸では少しひどいねと冗談半分に忠告したところ,その先生は,「なに眼科はね,これでいいのよ」と笑つていたそうだ.なるほど目の不自由な患者さんには先生の服装は,はつきりしないのかもしれない.
無論,いつものことでは無くて,たまたまの診療姿を友人にみられたわけであつたろうし,こんな話も多少,大げさな話題となつたことで,強いて,この先生を批難しようとはおもわないけれども,医者の服装や態度というものはおのずから一定の用意が要るとおもうのである.奢侈に流れず質朴に堕せずというところとおもわれる.
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