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助産所を改築して
羽生 たき
pp.34-36
発行日 1956年4月1日
Published Date 1956/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201037
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私の開業は戦前の昭和9年だつたものですから生めよふやせの時代でございました.その当時男の子でも生めば鼻高々としておられるくらい今の時代とは大部変つた頃でございましたので,開業早々6カ月間の取扱数が,21人,今考えると一寸ふしぎな感じがいたします.私の家が小さかつたので,(6畳1室,4畳半2室,3畳1室)4畳半1室だけ産室に許可を受けて置きましたが,自宅分娩が多く,施設に来てお産をする方は1カ月に1人位で,あまり産室も必要を感じませんでした.而しあの恐しい戦も終り復員その他の方々の結婚が多くなり,終戦2,3年後ともなりますと,出産数が恐しい程に多くなり,ベビーブームが押よせて来ました.戦災の為に家は少なく1戸建の家に住めるような方は沢山ありませんでした.当時のお産は4畳半に5人暮し,その中でお産もしなければならない.唐紙を横たおしにして子供との境をつくつて,取扱わなければなりませんでした.その時の私の夢はもつと産室がほしい,それから広い調理場がほしいと思いました.それから出来る限り資金をつくることに努力致しました.いよいよ昭和24年1月からポツポツと,増築をこころみました.初は東側の4畳半を6畳にして2畳の調理場を4畳半に,それぞれ増築致しました.大変明るい日あたりのよい産室が出来ました.
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