特集 病院の増改築に関する諸問題
病院増改築の諸問題
高野 隆
1
,
伊藤 誠
2
1建設省営繕局建築課
2千葉大学工学部建築学科
pp.15-19
発行日 1965年12月1日
Published Date 1965/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202732
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はじめに
過去10年間におけるわが国の病院建築の発展は,まことにめざましいものであった。時に一部では"病院建築ブーム"などという言葉さえ聞かれた。その結果として,とにかく量的には相当に充実したといってもさしつかえあるまい。地域によっては飽和状態もしくは過剰気味なところさえあるといわれる。これから推すと,特殊な病院でもない限り,もはや完全な意味での新設はあまりないのではないかとさえ思われる。しかし,だからと言って,病院における建築家の役目は終わったというわけではない。
ここにクローズアップされてきたのが増改築の問題である。地域による不均衡の是正は,老朽のまま放置されている病院の改築から始あられねばなるまい。さらに,医療施設の体系的再整備のためには,既存病院の整理統合を必要とし,おのずから何らかの形の増改築をうながすことになる。そのほか,医学の進歩や医療保健制度の改革に伴なって,今日完全といわれる病院でさえ数年のうちにこの問題に直面せざるを得ない。
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