講座
ペニシリン過敏性—抗生物質使用上の注意—
真下 啓明
pp.36-39
発行日 1955年9月1日
Published Date 1955/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200914
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種々の感染症の治療に抗生物質剤の使用がもつとも有力な手段であることは常識であろう.ことに抗生物質剤の真先に出現したペニシリンは副作用の少い点でも,後に相次いで発見された諸抗生物質剤と比較にならぬほど使用し易いものである.そのために発熱があれは直ちにペニシリンの注射を行うごとき誤りが広く素人療法化して行われている.もちろん化学療法の原則からすればペニシリンの適応か否かは正しい診断の確定に基ずいて行われるべきもので,さらに厳密にいえば感染病原体の種類が決定し,その病原体の化学療法剤に対する感受性度を心得てからペニシリンを投与することが正しいわけである.しかし実際にはこれらのことを正しく行つてからペニシリンを使用することができるとは限らない.一応臨床診断から適応をきめて使用する場合が大部分である.
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