医学の話題
更年期症状と血の道
杉 靖三郞
1
1東京教育大学
pp.37-39
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200883
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眠りからぎよつと目をさますと,体じゆうに何ともいえない熱い波がひろがつて,頭の芯にひびき,汗が寝巻に浸み通つているようなことがある.あるいは,1日中日がくらんだり,頭痛がしたりする,それもアスピリンを飲めばよくなるといつたものとちがつて,廊下を歩いても,自分の足音が,まるで雷のように頭の芯にひびくような頭痛である.でなければ,急に動悸がはげしくなつたり,何だかひどく体が疲れて,階段をあがるのにも何度も立ちどまらなければならなくなる,といつたことがおこる.そのほかいろいろ複雑な症状があるが,そのうちでも多いのは,体中が熱つぽい,ノボセる,顔が赤くなる,冷え性,動悸がする脈が多くなるといつた血管神経症であり頭痛,めまい,耳鳴り,不眠,シビレ感腰のいたみ,肩凝り,発汗,腹痛,だるさ,疲労感などもしばしばあらわれる.そして,それと同時に,月経の変調--1カ月飛んだり,急に洪水のように多かつたりする--がおこつてくる.
また精神的にも,何かいらいらして,ちよつとしたことに気が立つて,まるで子供のようにわめきちらしたくなつたりこれまでなら笑つてすませたことが,妙に気にかかつて不安におそわれたりするこんな工合で,日々を悶々として送つているものが多いが,気の合つた友だちと話し合つたり,同病の人と病気について語り合つているときなどには,案外と快活になつて,愁訴を忘れる…….
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