講座
頸管妊娠というもの
石川 清博
1
1日医大産婦人科教室
pp.58-61
発行日 1955年6月1日
Published Date 1955/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200871
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まえがき
一般に妊娠とは今更ことわる迄もなく妊卵が子宮内に着床,発育するものです.ところが時として不幸な場合には,妊卵が子宮内に着床せずに,妊娠に極めて不都合な場所に着床する結果思わぬことが生じます.御存じの子宮外妊娠が之れです.普通子宮外妊娠とは卵管妊娠のことを言うのですが,稀には卵管間質部,卵巣,腹膜等に妊娠する場合もあります.何れにしても着床した妊卵は妊娠末期まで発育することが出来ずに中絶したり,不幸な場合には着床部位が破裂し内出血を来して致命的となります.
さてこれから述べます頸管妊娠とは広い意味での子宮外妊娠の一つで今迄殆ど注目されなかつた病的妊娠の形なのですが,どういう理由か最近多くの報告を見るようになり,報告者が口を揃えて怖ろしさを述べているものなのです.
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