今月の臨床 産科出血―診断・治療のポイント
子宮外妊娠
3.頸管妊娠
井坂 恵一
1
1東京医科大学産婦人科学教室
pp.29-33
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101936
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はじめに
頸管妊娠は,受精卵が頸管に着床することにより生ずる異常妊娠であり,その頻度は,1,000~95,000妊娠に1例1)と子宮外妊娠のなかで最も稀な疾患である.ただし,狭義の意味では,卵管妊娠,卵巣妊娠,腹腔妊娠などの子宮外妊娠と頸管妊娠を区別する場合もある.また,最近増えている帝王切開後の創部に妊娠する帝王切開創部妊娠も子宮下部に妊娠することから,頸管妊娠と同様の診断・治療が必要となる.ひと昔は頸管妊娠といえば,妊娠中絶あるいは流産手術の際に大出血を起こし,はじめて診断されることが多く,しばしば子宮全摘を余儀なくされていた.しかし,現在では,超音波装置の出現とともに無症状の妊娠初期に診断することが可能となり,治療法も従来の外科的方法に代わり保存的方法が主流となっている2).
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