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短歌のまどい
美山 藤野
pp.50-53
発行日 1954年12月1日
Published Date 1954/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200756
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お星樣
花火終へたる孫の何をしもいふかと聴けば,「死んだらねおばあちやまね.お星様になつてね。」という.念押され頷きいる妻か.「縁側でいづみちやんは,かうして見ているからね.一番近いのになつてね.」と云ふ.言葉絶えし時の間ありて,「お姉ちやまはどれか知らん.」と降るばかりの星空仰ぎ,姉の星捜しいる孫か.それだけのことと思へど,それだけのことにはあれど,忘れかねて切なき時あり老のすべなさ.
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