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短歌のまどい
美山 藤野
pp.54-56
発行日 1954年7月1日
Published Date 1954/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200653
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短歌に接するということは人生の憩であり又はげみにもなりましよう,日本古来から伝わる人民性を強くうちだしたこの小詩型は,戰後あらゆる階層にゆき渡つて,親子愛情,青春の歌,自然描写詠,生活詠,職場からもり上るものなど種々雜多なもので,その昔平安朝華やかなりし頃の花鳥風月,相聞などの主題をはるかに越えて,人生の広範囲にわたつて切々とつづられています.何気ないものの風情,日常茶飯事が,短歌という親しい文学形式によつて表現され,そこに素朴なよろこびを感じてゆくということに,すでに人生が,うるおされ深さをましてゆくことでありましよう.近頃の短歌雜誌の中から親子の愛情など歌つたものを探してみますと,体内の不隨意筋の如くなる子というものにほとほと音をあげつ
高校生の娘の室片づき人形の顔をなさなくていくつも並べる
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