社会の動向
29年度の母子衛生予算と事業計画
田波 幸男
1
1厚生省母子衞生課
pp.36-38
発行日 1954年4月1日
Published Date 1954/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200586
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昭和29年度の予算を編成するに当つて,いわゆる1兆円予算ということがいわれたのは御承知のとおりであります.まず1年間の支出の限度を1兆円以内におさえてしまつて,この中でいろいろの仕事を按配し押込んでしまおうというのでありますから,いきおい窮屈なことにならざるを得ません.この至上命令に沿うため財政当局はいろいろの根本方針をきめました.例えば新規事業は認めない.少額の補助金は整理さる,補助金の補助率は50%以下にする等々であります.このため各方面に大影響がきて,一さわぎおこり結局はこの方針もある程度までは修正されましたけれども,それにしてもかなりの傷手があらゆる面にのこつた訳であります.
私共の関係している母子衞生の予算も御多聞にもれない口でありまして,29年度は今年度よりも相当減つているのであります.まず第一が母子手帳でありますが,これは補助金としては全額が削減されました.今年までは補助額として約800万円あつたのですが,来年からはビタ一文もない訳です.これが削減せられた原因は母子手帳が利用されていないということであります.利用されている,いないといつても水掛論みたいなものでありますが,私共の調査によると100%利用という所まではもちろんいつていないのでありますが相当の所までは利用されているのであります.
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