アンケート
アンケートを読んで
伊藤 光雄
1
1国立東一病院産婦人科
pp.61
発行日 1954年3月1日
Published Date 1954/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200573
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つわりの処置についての皆さんからのアンケートを読ませていただきましたが,どの方のお答えを拜見しても,その短い文の中に皆さんが日常実地に当って如何に正しい方針のともに如何に熱心に努力されているかがうかがわれて本当に頼もしくまたうれしく思いました.何か批評をとのことですが,どれも私自身がいいたかつたことばかりで,もうこの上何も蛇足を加える必要もないように思われますので一つだけ希望とお願いを申させて貰います.
つわりの処置,さらに惡阻の治療には隨分沢山の薬物があげられています.例えば蓚酸セリウム,塩酸コカインのような鎭吐剤,葡萄糖インシユリン或いはビタミンB1〜B6またホルモン剤では黄体ホルモン,副腎皮質ホルモンなど,その他抗ヒスタミン剤,メチオニン剤,グルクロン酸チオ硫酸ソーダ,交感神経遮断剤など,まだあげればきりがない程種々なものが用いられています.妊婦はつわりで医師を訪ねればこれらの薬物を貰うか注射をうけることを望みますし,そうすれば医師はその処置を行いがちになるものですが,これは大きい誤りで,つわり乃至惡阻の治療の第一歩はアンケートで皆さんが強調されているように何よりもまず心身の安靜(精神療法)と食餌療法にあるのです
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